2012年12月31日

石川県立音楽堂コンサートホール

カウントダウン・コンサート2012-2013
2012年12月31日(月)~2013年1月1日(火・祝)
午後9時開演

ソプラノ:鮫島 有美子
ヴァイオリン:吉田 恭子
ピアノ:仲道 郁代
津軽三味線:一川 明宏、明宏会
金沢芸妓:主計町芸妓 ひな、こと乃、笑弥、桃太郎
指揮:鈴木 織衛
ゲスト:有村 架純(映画リトル・マエストラ主演女優)
管弦楽:オーケストラ・アンサンブル金沢特別大編成
バレエ:中村祐子モダンバレエアカデミー
司会:長田 哲也、戸丸 彰子


遠征してきました。

いやあ、なかなか長かった。
9時開演で、前半1時間45分、30分休憩の後で、さらに1時間45分。コンサートを、ほぼ二回聞いたも同然だった。

飲み物は樽酒も含めて、各種アルコールも飲み放題のフリードリンク。軽食も、蕎麦、サンドイッチ、寿司などからどれか選択。

順番に記載する気力もないので、以下は順不同ということで。

  • ホールは1500席くらいのシューボックスで、なかなか素直によく響いていた。2階席だったが、そんなに遠い気はしなかった。

  • このオーケストラを初めて聞いたが、弦の音にびっくりした。アマプロ取り混ぜていろいろ最近聞いてきたが、このような弦の音は聞いたことがない。とても美しく純粋に感じた。その一方で、木管がかなり埋没気味で、ちょっと寂しかった。ソロではまあまあ聞こえてくる時もあるのだが、tuttiの時にはいくら耳を澄ませても聞こえない。残念。逆に金管は抑え目でいい感じにブレンド。

  • 開演前や、休憩時間にはパイプオルガンの生演奏。BGMとなってしまっている。なんと贅沢な。

  • 津軽三味線とオーケストラトラの共演には、なかなか感心した。何か異様な迫力を感じた。

  • 芸妓の踊りは、テープ伴奏で残念であった。特に前半のテープはノイズがひどい。このあたりの無造作さは良くないと感じた。背景転換はなかなかスムーズでよかったけどね。

  • 実は最近の歌舞伎通いのひとつの理由は、生の邦楽演奏の魅力ということもある。楽器の音の録音の質向上という点では、テレビの歌舞伎放送でも、そんなに真面目にとりくんでいない気がしてならない。セリフが聞こえればいいってものでもないだろう。

  • 残響の豊富なホールでの長唄とか、謡曲とか、雅楽など、邦楽を音楽として楽しむのは今後のテーマとして、(機会はかなり少ないが)今後は頑張ってチェックして行きたいと思っている。

  • 岩崎宏美の歌は、今回のメインにふさわしく圧巻であった。うまいし、生オケでさらにはえていた。本人は当然PA使用だが。由紀さおり「よき後継者を得た。」(嘘)

  • プロジェクターで、いろいろな映像やプロモーションビデオが流れたが、投影されていた画質、特にコントラストが今の基準では低いと思った。眠い。要更新だろう。

  • あと、主催新聞社の宣伝多すぎ。金沢持ち上げも、くどいとちょっと鬱陶しいところも。

  • まあ全体的には、いろいろ楽しめた。遠征ってのもたまにはいいね。

  • 早くも来年の大みそかのコンサートについていろいろ夢想中。

  • オーケストラアンサンブル金沢は、どこかでもう一回聞いて見なければ。

2012年12月23日

三鷹市芸術文化センター 風のホール

第39回三鷹市市民コンサート
三鷹市管弦楽団

小ぶりのシューボックス。2階席で聞いた。府中のウイーンホールと似たような大きさだが、こちらの方が断然響いている。

開演前のざわめきだが、20分前の入場時には5分の入りで相当響いていたが、開演直前にはほぼ満員となり、この時点での残響はかなり減っていた。冬の寒いときでもあり、お客が入るにつれて吸音効果が増していくのがよーくわかった。

演奏の方は3曲で、それぞれ木管の主席が交代しているようで、それによってオーケストラの印象がかわって聞こえて、おもしろかった。

これでもっと駅が近かったらよかったのにとは思ったが、三鷹通りにはバスがたくさん走っているみたいなので、次回からは徒歩はやめてバスにしよう。

ちなみ太宰治や森鴎外の眠る禅林寺もこのホールのすぐ近くである。

ことしのホール訪問はこれで最後……ではない。もう一回残っている。

2012年12月21日

東京文化会館 小ホール

プラチナ・ソワレ第3夜 
ヴァイオリン:堀米ゆず子 チェロ:山崎伸子 ピアノ:津田裕也


上野は小ホールからということで、今夜のコンサートに。

築50年くらいで年季を感じる建築で、この時代にはこういうコンクリート打ちっぱなしが多かった。西の方では、京都の国際会議場に似たテイストを感じる。

小ホールへのアプローチや、中に入ってから左手にまわった通路から、大ホールのホワイエや、レストラン内部が見渡せて、面白かった。また、小ホール自体の配置も、ステージが普通とは逆にもぎり場所近くになる。また、同時にホール全体が廻廊で囲まれていて、そこを一周するのもなかなか楽しく、窓からの景色も楽しめて、よく考えらている建築設計だと思った。

ホールの残響は強くはないが確実にあり、同時に細かい音がわかりやすい。今夜のような室内楽にピッタリとしたものである感が深い。この小ホールの評判がいいのも頷ける。

演奏は緻密なアンサンブルが楽しめた。緻密すぎて、トリオの第一楽章が、自律神経刺激しまくりで、やや辛かった。シューマンの曲想の緊張感がビシビシ伝わってくる気がしたので…アンコールにビオラが加わったのは、ちょっとしたサプライズ。

個人的な室内楽用の小ホールの巡礼はまだまだ進んでいないが、ここが今後のスタンダードとなるのであろうと思う。このホールを消化したうえで、さらに優れた音響設計をおこなったホールに、いつか出会えることだろうと思う。


2012年12月19日

新橋演舞場

十二月大歌舞伎 昼の部
通し狂言 御摂勧進帳

歌舞伎が続くが、演目に特に関心があったので。3階席。ここから見るのは初めてであった。さすがに遠い。けど、役者の声はよく聞こえた。さすがプロ。

演目は、江戸時代の歌舞伎、なかでも顔見世興行の雰囲気を味あわせてくれるもので、楽しいものであった。

2012年12月15日

所沢ミューズ アークホール

東京経済大学管弦楽団 第54回定期演奏会


コンサートホールにはまってしまった一つの理由は、前回ここに来た時の衝撃であった。今まで聞いたことの無いホール音響効果で、こんなオーケストラの響きが聞けることに感激した。

今回は2回目だが、曲目のサンサーンスのオルガン交響曲が前回とかぶっている。例によって2階より上は立ち入り禁止ということで、1階席後方に座る。

残響が良く、今日は弦がとりわけ美しく聞こえる気がする。また、オーケストラの最強奏でも音が濁らず、この点ではオペラシティのリサイタルホールにはっきり優っていると思う。

良くない点は、

  • 都心から遠い。
  • 駅から遠い。
  • コンサートがあまり多くない。
  • チケットがイープラスにあまり出ていない。

といったところか。ヨシモトのお笑いの公演までやっているようで、まあ、すごいといえばすごい。どんな景色か見てみたい気もちょっとある。

まあ休日なら、沿線にいい蕎麦屋を見つけたこともあり、昼食をとってからマチネーというなかなか優雅なパターンを確立できるかも。ということで、チケットカウンターによって次回のチケットを確保して帰って来た。次回は2階席に挑戦。

2012年12月14日

府中の森芸術劇場 ウィーンホール

桐朋学園チェロアンサンブル


シューボックスということで楽しみにしていた府中のウィーンホール。2階席ななしで、平土間のみ。予想に反して、中に入ってもそんなにわんわんと響いていない。意外だ。側面壁を見ると列柱状になって、その間の壁はアールになって、その上デコボコしている。ほぼ並行面なし。そのせいだろうか。椅子の背もたれの部分もほぼ全面クッションにおおわれている。

演奏を聞いても、シューボックス的な(と勝手に思っている)音の増幅効果が弱い感じである。初期反射音が来ていないのではないか。残響は多くはないがきれいに消えていく気がする。

その結果、チェロ24+バスドラム1+シンバル1による【禿山の一夜】でも、それほどの音圧感がなく、ちょっと寂しい。この曲はやはりもっと鳴らしもいいのではと思った。

つぎの【弦楽セレナード】が圧巻のチェロ42名編成で、ようやくたっぷりとした音圧感に。やはり、これくらいの音量がなくては。

前半の、ヴェルナー・トマス-ミフネのビッグトレイン(曲も作曲家も知らなかった。パンフレットもろくに読んでいな。)では出だしの音にびっくり。この時点では曲名も把握していない。だんだん列車が動き出していることがわかって来て、描写音楽だとわかり、曲名を再確認。シュシュポッポ走って来て、つぎの駅に停車して終曲。クラフトワークのTEEや、スーパーベルズの電車DJなどと合わせて鉄道音楽と命名されるべき?。タモリ倶楽部のネタになりそうな曲だった。

この近辺のシューボックスには、

  • ウィーンホール 1階のみ 522席
  • 杉並公会堂  1階 778席 2階 406席
  • 三鷹市芸術文化センター 風のホール 1階 440席 2階 185席

などがある。

風のホールは未訪問だが、近々いく予定。ウィーンホールとほぼ同規模なので比較が楽しみである。

2012年12月10日

オペラシティ コンサートホール

国立音楽大学 第118回オーケストラ定期演奏会


相対的に職場から近いので、オペラシティは通いやすい。

比較的空いていて自由席だったので、休憩前と休憩後の席を替えてみることにした。席は1-3階のすべてが解放されていた。

休憩前は2階サイドのかなり前の方に。ほぼオーケストラの真横から見ていることになる。当然ながら、並行な側面壁によるシューボックスの効果はほとんどなく、原音がかなりはっきり伝わってくる。弓の擦れる音がよく聞こえる。なかなか迫力があるのだが、オーケストラの半分近くが見えないし、見えない辺りは音も影になって比較的弱まっている。手すりもやはり邪魔で、隙間から指揮者、フルート、ティンパニのセンターラインを覗く姿勢で固まってしまった。

休憩後は初めての3階席で、正面に。見た目でも思ったほど遠くは感じないし、音はけっこう近く感ずる。3階席から見ると、あんなに高く見えた天井がけっこう近く見えたのがおもしろかった。オーボエやフルートなどは、サイドよりもよく聞こえてくる。オーケストラ全体がよく見渡せてなかなかいい感じ。指定の場合でも安めの席になるだろうし、今後はここに決まりかとも思ったが、最強奏で弱点があらわれた。やはり音が混濁した感じがある。サイドではこんな感じは無い。なにより視覚的にも聴覚的にも音源がかなり広がっているので。

シューボックスの弱点になるのかどうか、今後見極めて行きたい。まあ、なかなかすべての点でいい席はないものかも。

先週に引き続き、音大のオーケストラを聞いたが、さすがに単なるアマオケよりはうまいものですね。今日は、観客も若い人が多かった。

2012年12月9日

すみだトリフォニーホール 大ホール


墨田区交響楽団 第57回定期演奏会

今まで食べたことがなかったので、まず【かんだやぶそば】に行って見ることにした。11時35分頃着。11時半に開店らしいので、まだすいてるだろうと思って行くと、すでに席は八割がた埋まっていた。なんと。

休日のせいかお銚子や、ビールがどんどんでていくのを横目でみながら、温かい蕎麦を一杯だけ食べてさっさと退出。帰りの頃には店外にまで行列ができていた。ついでに、近所の【まつや】の外観を見物して蕎麦の聖地巡り?を終える。こちらの方は、今日は定休日で静まりかえっている。

それから、10年ほどぶりに、秋葉原を散歩した。駅周辺などその変わりぶりに驚いたが、意外とパーツ屋さんとか計測器屋さんとかあるところにはあった。

さて、さらに移動して錦糸町。スカイツリーも結構近い。

トリフォニーホールもはじめて。なかなかシックな内装である。音の響きは良好そうであるが、古典派の小編成+大きなホール+満席に近い集客+冬の着ぶくれ+2階席という組み合わせのせいか、いまいち音量不足感を感じる。1階席の前方を目指すべきだったか。

ここでは、もっと大編成でがんがん鳴らすオーケストラを聞いてみたくなった。

本日の下町観光の締めとして、帰りのお土産に亀戸天神船橋屋の【くず餅】を錦糸町駅で買って帰る。船橋屋は1805年創業だそうで、今日聞いたベートーベンの交響曲第4番が完成した1807年と妙に近い。

錦糸町からのスカイツリー全景


2012年12月5日

東京芸術劇場 コンサートホール


第3回 音楽大学オーケストラ・フェスティバル
ブラームス/交響曲第4番 (桐朋学園大学)
マーラー/交響曲第1番(東京音楽大学)

改修前、改修後を通してはじめての訪問である。大きな交響曲2曲ということで、体調と気合いを整えて会場に向かう。

イープラスで座席の選択にかなり迷ったのだが、結局1階席の高い所にした。結構ステージが大きく見える。

開演直後は、すごく暑かった。ブラームスの第二楽章が終わった頃にようやくまともな室温になった気がする。それで頭がぼんやりしていたことに加えて、木管楽器や金管楽器が全然音がこないのでびっくりした。耳がおかしくなったかと思った。残響(遅い響きの部分)は十分あるのだが、初期の一次や二次の反射音がかなり弱いのではないだろうか。楽器の音がこのせいで増強されずに、小さくしかきこえない。普通、金管楽器がちょっと音量をあげるとうるさく感じるのだが、(うるさい直前あたりで音圧やパワーを体感できてもっとも気持ちがいい)、ここでは遠く違う世界でなっているようである。距離は結構近いのに、まるで隣の部屋のステレオを聞いているみたい。あまりこのホールの評判がよろしくない理由がわかった。

休憩後のマーラーでは、うって変わって木管金管がよく聞こえ、バランスがかなり改善されている。このように違うオーケストラを聞き比べられるのは、この企画の贅沢なところである。さらに、音量をかせぐためにか要所で、木管楽器を大きく持ち上げて演奏したり、フィナーレでホルンパート全員が立ち上がっていたりしていた。別に【のだめ】の影響なんかではなく、純粋に音響効果のためだろうと推測。

個人的にマーラーを演奏会で聞くのはほぼ20年ぶりであった。前回は名古屋のアマオケで聞いて、都会ではアマオケがマーラーを演奏するということを知って驚いた記憶がよみがえった。

ふたつのオーケストラでこれだけ聞こえかたが違うのは、指揮者の指導の差が一番大きな要因であるに違いないと考えつつ帰宅した。ところが…

帰ってパンフレットをよく読むと、東京音楽大学のオーケストラは、定期をいつも東京芸術劇場でやっているようだ。ホームの地の利を生かした勝利だったのか。

2012年12月1日

文京シビックホール 大ホール

成蹊大学管弦楽団 第43回定期演奏会

ホールに入って驚いた。

府中のどりーむホールにそっくりなのである。

座席表 websiteより引用

全体の形状、側面壁の段差のつけ方、はては2階席のサイドのでっぱりまでよく似ている。

ところが、こちらのホールの方が断然よく響くのである。残響も多いし、おそらく初期反射音の影響で、それぞれの楽器の音が前に出てくる。2階席だったのだが、どりーむホールで感じた音量の不足感や、低音域のものたりなさはまったく無い。

両者でおおきく異なるのは壁の仕上げで、こちらは木の仕上げとなっている。それだけが響く理由なんだろうか?

ここはひとつ実験のため、どりーむホールの内装の全面改装を府中市にお願いしたいところだ。お金あるんだろうし。

椅子が変な形で座りにくいのは、ネットで噂になっている通り。惜しい。

2012年11月27日

オペラシティ コンサートホール

ランチタイムコンサート  
オーボエとピアノで綴るロマンティシズム

オーボエ 杉原 玄一郎 
ピアノ   多賀谷 祐輔

今日は昨日に引き続きオペラシティのコンサートホールに。無料のランチタイムコンサートだが、この大ホールでの室内楽に興味があったので。

2階以上は閉鎖で1階席に。見上げると天井の高いこと。

昨日の大音量に比べると、当然ながら音量は控えめ。無料ということもあり、演奏中も観客席からはいろいろな音が聞こえ、S/N比はかなり悪い。

スタインウェイの音色のきつめの響きがとれて、個人的には聞きやすいと感じた。

2012年11月26日

オペラシティ コンサートホール

第169回NTT東日本 N響コンサート

今日も2階サイドの席。昨日に続いてオーケストラ全体が俯瞰できて、音源が縦横に拡がって聞こえる。仮称2D音源オーケストラ。

舞台の一部が見えないのはいたしかたなし。ただ、2列目の席でも1列目との間に手すりがあって視覚的にかなり邪魔。ない方がいいと思う。前に2階正面で聞いた時よりも直接音の迫力が増している。

今日のプログラムでは、途中オーケストラの編成がいろいろ変化して面白かった。

  • レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲

木管、金管、打楽器が退場して弦のみ。横から見ているので、音源が縦方向に拡がる。

  • ロドリーゴ:アランフェスの協奏曲

この曲では、弦楽器を大幅減員で、ギターとの音量的バランスをとっている。木管、金管パートはいるので、オーケストラが縦長になっているのが上から見るとよくわかる。音源は横方向に拡がる。

その他の曲では、舞台がフルに埋まっている。この場合の最強奏(含バスドラム)では、音がひとかたまりになってやってきて、ほとんどノイズ状態かと思った。初期反射の強いシューボックスの欠点で、後期ロマン派などのフォルテシモでは音が濁ると聞いてことがあったが、このことだったのか。ただ、オーケストラか指揮者は、この点について何らかの配慮があってもよかったのではないかと。

2012年11月25日

一橋大学 兼松講堂

くにたち兼松講堂音楽の森コンサート
伊藤 恵、ベートーヴェンを弾く

オールベートーベンプログラムだが、前半はピアノソナタ2曲で、後半はピアノ協奏曲。休憩時間中にオーケストラの席のセッティング。なかなか見る機会はないので、まじまじと見てしまった。(椅子と譜面台を並べるだけなので、どうということもないのだが)

2階サイドのバルコニー席へ。席の前後の間隔が狭く、足のやり場がない。下をみると、1階ではもう少し間隔が広くて、そのようなことはないようだ。

音響については、こちらに解説が。ピアノとの相性がいいことが説明されている。
永田音響設計のニュースより

このホールには2回ほど来たことがあったが、2階席ははじめてである。サイドからオーケストラを聴くことは初めてだったが、こんなに面白いものとは思わなかった。

正面からだと、音源はほぼ左右一直線にならんで、ステレオで聞くのとさほど変わらない。サイドの上方からだと、(今回は右サイド)視界の上にバイオリン、右に木管、下に低音の弦と拡がり、そのそれぞれからの音がやってくる。協奏曲なので、おまけにピアノの音が視界の左から聞こえる。家庭での再生環境や、イアホンでは聞くことのできない音源の縦方向への拡がりに感心した。

プログラムは啓発的で、ホールの古典的趣きや、いい天気に恵まれたことももあって楽しい休日の午後であった。


兼松講堂と銀杏



2012年11月23日

明治座


十一月花形歌舞伎
夜の部 通し狂言 天竺徳兵衛新噺

今日は家族サービス。休日なので、昼過ぎに出発して改修工事が終わった東京駅をまず見物。

その後、日本橋で遅い昼食をゆっくりとり、日本酒二合で気持ちよくなったところで、明治座に移動した。飲んだら眠くならないかという声もあったが、この演目ではそれはあるまいときっぱり断言。

一階席で見物。芝居の方は、猿之助が三幕ほぼでずっぱりで、宙乗りや早変わりなどなど見所もたっぷりある。楽しめた。

芝居はとてもテンポよく進み、終了が八時ちょっとすぎで予想外に早かった。これはこれでいいのかも。この時間なら、終演後の夕食の選択肢もかなり増える。

実は七月には襲名披露の新橋演舞場にいっており、すっかり新猿之助の追っかけとなってしまっている。公演日は残り少なくなってきたのだが、昼の部も見に行こうという話も出た。スケジュールが取れず、思いとどまった。

2012年11月17日

府中の森芸術劇場 どりーむホール


国分寺フィルハーモニー管弦楽団 第45回定期演奏会

府中市はお金持ちで有名な自治体である。

その府中の森芸術劇場は、どりーむホールという大ホール、ウィーンホールという中ホール、ふるさとホールという邦楽用の3ホールを持つ。昔、ふるさとホールに文楽を見に来たことがあるが、その他は未訪問。

今日は大ホールでのオーケストラを聞きに来た。例によって、とりあえず2階に。

恒例の開演前のざわめきの残響聞き取りだが、扇形にしては残響がある。演奏でもそれは感じられ、オーケストラでもなかなか響くホールであった。だが、あいにく大きなホールだけに、音量が2階ではやや不足感がある。

このホールの通は、2階袖の前に張り出している席を狙っている模様。早くから埋まっていた。

細かく区画して、そのそれぞれの角度をより並行に近づけてある側面壁の形状が、疑似シューボックス的な効果で、響きを良くするひとつの要因に思えた。もうひとつ考えられる要因はその材質ではないだろうか。近くでたたいてみると、材質はよくわからないが比較的金属的な音がした。セラミックぽい??が、よくわからない。側面壁では、吸音や拡散処理はしていないようである。建設時によく考えた(お金をかけた)んだろうなあ。

休憩時間には売店も営業していて、コーヒー、ジュース、ビール、ワインなどを販売していた。アマオケでこんなのはじめて見た。さすが府中市はお金持ちで、、、

あえて文句を付けるとすれば、低音域の初期反射を含めた残響が少し弱いのかもしれない。ティンパニ、チェロ、コントラバスがもう一つ前に出てこない感があった。将来の改修時にはこの辺りも考慮していただければ、より良いホールになると思われた。ぜひ、お金をたくさんかけて、、、

あと、見かけがグレーでちょっと殺風景。ここにもお金を、、、

ウィーンホールは、シューボックスなのでぜひ近日中に来てみたい。

2012年11月16日

小金井市民交流センター 大ホール


小金井市民オーケストラ 創立30周年記念演奏会

昨年(2011年)オープンした新しいホール。壁面や床は木で仕上げてある扇型ホールである。仕上げの効果を試聴できることを楽しみにして会場へ。

ホールに入り、開演前のざわめきを聞くと同様の内装のシューボックスに比べての残響の少なさは明らかで、扇形のホール形状の不利なことがわかった。ただし、演奏に対する仕上げの効果はあると思う。抑えた残響ながら、昔の多目的ホールよりはずいぶんと音楽的に響いていると感じた。

オーケストラの演奏への効果ではシューボックスに負けているのかなと、個人的には思われたが、ピアノではこちらのホールでの演奏を好ましく思う人が多いのではなかろうか。ピアノについてはシューボックスよりもはっきりと明瞭に聞こえ、響きが濁ったりすることは少ないのではないかと。

観客のマナーや、客扱いについては???な点も多かった。悪名高いどこからか漂う鈴の音もはじめて聞くことができた。

ただしシューボックスに比して、咳き込む音や、パンフレットいじりの雑音ははるかに気にならない。この点である意味、音響的な利点があると思った。シューボックスでは、どこのどんな小さな音も会場全体に響き渡り、よく聞こえるのである。

補足であるがこの会場では、2階へ上がる階段もウッディである。上がったすぐ先のホワイエの空間では、木の仕上げの壁とコンクリート打ちっぱなしの壁に囲まれているのだが、残響がかなり少ない。コンクリート打ちっぱなしのほうが、カーブになっているからであろうと思われる。ホール形状の残響への効果についての理解が深まった気がした。

小金井市民交流センター 大ホール 2階ホワイエ

2012年11月14日

音響設計

音響設計という仕事では、ホール劇場その他の建築時や改修時にコンサルタント業務をしているようだ。その内容は多岐にわたって、

  • 会場の防音。外部からの雑音を防ぐと同時にホールからの音漏れを防ぐ。
  • 空調音の抑制。
  • 音楽を妨げる定在波などの除去。
  • 用途に合った残響時間の設定。
  • PA 用のスピーカーの配置計画やその他の電気系。
などなどいろいろなことがあげられるらしい。

したがって、たとえ残響時間が短くとも、音響性能のすぐれたホールであることもありうる。そういったホールについてであっても、よくわからないままにコンサートの宣伝やマスコミなどで、

音響のいいホール
響きがいいホール
豊かな残響


という誤変換があるようである。昔だまされました。

どうも、音響という単語自体を使うことに罪があるようにもおもえる。すなおに読むと、音響では音の響き、すなわち残響を含んだ音としかとれない。(辞書にも音のひびきとかいてある。)

音響設計といわずに、音環境設計とかいったほうがいいような気が…

2012年11月13日

フェルマータ

学校音楽では、単に音や休符を伸ばす記号として教わったフェルマータだが、イタリア語では「止まる」という意味だそうだ。

したがって、そこで演奏を一時とめるというのが本来の指示であろうが、とまって何をするかというと、音の残響が消え入るまで待つという考えがあるらしい。演奏する場所によって残響時間が異なることにより、次の音までの時間間隔が変わってくる。

先日のお勉強リンク先より引用

なるほど、知らなかった。この考え方だと、同じ演奏者であっても、演奏場所が違うとフェルマータでとる時間が変わってくることになる。

曲の最後の休符にフェルマータがついていることもあるが、これも今まで「なんのこっちゃ?」だったが、残響が消え去るまでが曲の内というのが意図なんだとわかる。

また、ベートーベンの第5交響曲の冒頭のフェルマータの解釈については、いろいろ議論があるようだが、ちょっと調べた範囲では残響も含めた議論はみあたらない。再考の余地ありというところか。

フェルマータの記号についてだが、

フェルマータ

WiFi の記号に似ていないか?

WiFi
WiFi が電波の拡がりをあらわしているのと同じく、フェルマータは音の拡がりをあらわしているに違いないと妄想したりして。

2012年11月12日

リバーブ

大昔、学生時代にシンセやデジタルピアノなどで打ち込みで音楽をつくっていた(1980年代前半)。最終的な仕上げには、音の拡がり感をつけるためリバーブが必要なのだが、これが恐ろしく高い機材でなかなか買えなかった。

最終的には、SONYのデジタルリバーブMU-R201を入手したのだが、この機械をいろいろ設定して試すことにより、残響についていろいろ知ることができたことを思い出した。

ホールの残響の性質は、決して残響時間のみでそのすべてがわかるものではない。残響の特性のある一面のみを表している数値に過ぎない。いろいろなホールを訪ねることにより、いろいろ体験できて、検証することができた。

下のリンクからリバーブについてのいろいろな解説がみられる。サンプル音が聞けるサイトもある。

「リバーブ パラメータ」を検索する。

2012年11月11日

彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール

国分寺チェンバーオーケストラ コンサート

やはりシューボックスは良い。

会場は604席で、直近に訪問したシューボックス型の杉並公会堂の1190席に比べると小さめ。

杉並公会堂ほど響くことはないが、やや短めながらも残響はしっかりとあり、明瞭感がある。バランスがとれていて一般受けはこちらのほうがするのではないかと思われた。

クラシックのコンサートで、扇型の平面を持つホールに対して、並行に配置された側面壁を持つシューボックスの優位性を再確認。響きが豊か(後期残響成分が多く)、演奏される音自体も量感があり、明瞭に聞こえる(初期反射の影響)。
参考:ウィキペディアで「残響」を見る

やや、残響が少なめなのは床面の勾配が、他と比べてややきつくなっていることが関係しているのだろうか。後ろのほうからでも見やすく、いいんだけどね。結構いろいろなバランスがうまくとれているホールと思った。

ここもまた、2階席は封鎖されていた。アマオケには2階席は貸さないとのホール間協定でも結ばれているのか?今後の課題として、シューボックスのホールでの席ごとの差、特に2階のバルコニーあたりの違いをチェックしていきたいと考えているだけに残念。


さいたま芸術劇場

2012年11月10日

ルネ小平 小平市民文化会館 大ホール


中央フィルハーモニア管弦楽団 第64回定期演奏会

国分寺で昼食をとって、西武電車で小平をめざす。人身事故の影響でダイヤが乱れていて、小川駅より歩く。ちょっと遠い。途中、住宅街で道に迷うがスマホのGPSに助けてもらって、開演ギリギリに到着。2階席に。

ホールは1、2階席とも勾配が大きくかなり見やすい。大きく見おろしているので、オーケストラの各メンバーの動きがよくわかる。

残響時間は短め。ホールのエントランスロビーは吹き抜けで、その上部に2階席のホワイエが延長されている。こちらの空間のほうがけっこうよく響く。プロムナードコンサートなど催してはいかがか。

チャイコフスキーの交響曲第6番。例の第3楽章の終わりでは、拍手まったくなし。いろいろなケースがあるようで見かたもさまざまのようだが、いちおう記しておく。

明日も出動予定。

2012年11月8日

オペラシティ リサイタルホール

イグナツ・リシェツキ ピアノリサイタル

リサイタルホールは初。これでオペラシティの3会場をコンプリート。

公表されている残響時間は1.2秒(満席時)ということで短めに設計した様である。確かに、開演前の話し声の響きをきいても、デッドである。

ホールは床、壁共に木張りの箱型の空間で、これまで見てきたシューボックスのホールと基本構造は大差ないように見えるのに、なぜここまで残響が少ないのか?ホールの容積と、奥行き対幅の比が効いているのかもしれないが、今のところ不明。要精査。

ピアノの演奏は細かなところまで明瞭に聞こえ、先日の杉並公会堂で聞いた残響たっぷりのピアノ協奏曲とは好対照。一般に、室内楽はデッドで解像感が高いほうが好まれているのかもしれないが、個人的にはもっと響いてもいいような気もする。

リストの実演は初めて聞いた。ピアノのダイナミックレンジと周波数帯域を使い切った曲を好演。これまでリストのピアノ曲を録音などで聞いてもあまりピンとこなかったのだけれども、実際に聞くことによって「リストいいじゃん」と思った。また機会があったら聞いてみたい。

オペラシティ ガレリア

2012年11月4日

江の島・横浜

秋の小旅行と写真の投稿練習。


江の島 稚児ヶ淵
横浜 港の見える丘公園
横浜 よこはまコスモワールド

2012年10月28日

杉並公会堂 大ホール

オーケストラCONSONO第2回定期演奏会

今日開催の演奏会を検索して、こちらにやってきた。初訪問。武蔵野市民会館や三鷹市芸術文化センターに比べると、駅に近くていい。

比較的最近建設されたシューボックス。

2階は閉鎖。1階席後方。入りは結構いい。

2曲目はモーツァルトのピアノ協奏曲。第1楽章カデンツで、パンフレット落とし1名と、目一杯のくしゃみ一発。あーあ。

ソリストのアンコール曲紹介は肉声だったが、残響のために言っていることが何一つ聞き取れなかった。コンサート向けのホールは演劇には向いていないということが見事に体験できた。

2012年10月21日

パルテノン多摩 大ホール

成城管弦楽団 第17回演奏会

このホールも2回目。前は、くにたち市民オーケストラのブラームス特集だった。(調べてみると2003年)

残響の少なさは、武蔵野市民文化会館大ホールと同じ感じ。というか、むかしのホールというものはどこもこんな感じで作ってある、多目的ホールだった。成人式その他行事やお芝居にも使う必要があったろうから。

私の田舎のホールもそうだった。オーケストラはそこで聞くのが当たり前で、残響の多いホールのオーケストラのコンサートなどというものは、この歳まで想像したこともなかった。高校生のころには、歌舞伎もオーケストラも同じホールで公演があったのですよ・・・(涙)。あと、YMOまでも。今は、専用のホールができたそうです。

2012年10月16日

オペラシティ コンサートホール

オーケストラプロジェクト2012

自由席 2階中央ブロック。

ここでのオーケストラははじめて。美しく響く。分解能もいい感じ。以前にオルガンは聞いたけど、特に高音の響きがいいという噂が真実であることを再確認。

天井がとても高い。じっと見ていると吸い込まれそう。Star Warsの映像みたい。

平日夜、有料、4曲初演というかなりマニアックなコンサートで、観客マナーは鬼のように良でした。演奏中ほぼ無音。終盤咳き込みそうになって、耐えるのがちょっと辛かった。

2012年10月14日

サントリーホール

オルガンレクチャーコンサートシリーズ2012 ウィーン音楽散歩Ⅱ

巡礼の旅はついに初めてのサントリーホールへ。

いままで何をしていたかといわれそうだが、東京(都下)に転居してきてから15年、仕事と子育てに追われて、都心までコンサートに出かけるという気にはなれなかった。

1階の中央あたりの席。早く着いたので、上やら下やらうろうろうろうろ。

パイプオルガンの残響を聞くと、高い周波数成分では、あまり残響が多くないとの印象。きらきらしているオペラシティのオルガンの音とは対照的な感をうける。

パイプオルガンとバイオリンの二重奏では、バイオリニストがオルガンの演奏台の横で演奏。高くて遠いところからの音色が心地いい。

休憩時間にワインが飲めるとは知らなかった(500円)。ありがたいことで。


2012年10月8日

所沢ミューズ アークホール

くにたち市民オーケストラ 第34回定期演奏会

2階は閉鎖。1階後方にて。

とても美しく響くホール。最初のリエンツィ序曲で、いったいこれまで聞いてきたのはなんだったのかと思わざるをえなかった。

サン=サーンスのオルガン付き交響曲も、効果は抜群。

選曲、演奏、ホールに大満足で帰ってきました。

また来ようとおもうが、チケットがイープラスでそんなに数多くでていないので残念。

2012年9月30日

武蔵野市民文化会館 大ホール

東大フィル・グラデュエイト・オーケストラ 第5回定期演奏会

ここのホールはたしか2回目で、ずいぶん久しぶり。三鷹駅からとぼとぼと歩く。

2階席中央付近。

記憶の通り、残響短い。

本編では、メンデルスゾーン/フィンガルの洞窟(ローマ稿)。アンコールでは同曲、ロンドン最終稿とのこと。さすが東大、マニアック。(私には、区別がつきませんでした。)

もくろみ通り、台風の影響が強くなる前にうまく帰宅することができた。

2012年9月14日

オペラシティ 近江楽堂

小倉貴久子の「モーツァルトのクラヴィーアのある部屋」
シリーズコンサート《第4回》 J.A.シュチェパーン

近江楽堂は、噂には聞いていたけど、よく響く。

特にこの環境でソプラノの声は素晴らしかった。よく女性ボーカルを再現するのがオーディオの一つの目標と言われているが、これを実現するには並大抵のことではないと言うことが、良くわかった。コンサートにいく頻度が低いと、生の楽器の音は身に染みていないのでオーディオでも簡単に騙されてしまうが、人の声は普段から聞いているだけに、そうはいかない。リアリティのある再現をするのには、とってもお金がかかるんだろうなあ。

席はちょっと詰め込まれた感があったけど。遅刻して入り口付近で立っている人を、演奏者が奥の空席に誘導したりして、アットホームな会。

2012年9月1日

はじめに

いつまで続くかわからないけど、このところコンサート、というかコンサートホールそれ自体がマイブームなので、個人的な巡回記録として残しておくことにする。ネット御朱印帳といったところ。

いろいろな編成の演奏を、いろいろなホールで聞いてみたい。

こんなことになった経緯については、また日を改めて書くこともあるかもしれない。まあとりあえず、ホールと演奏の印象を、残響についての雑感もふくめて書くことになろうかと。

趣味は人それぞれであろうが、個人的には残響多めが好みであることも付記しておく。